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地球は暴走温室効果の瀬戸際

地球は暴走温室効果の瀬戸際

二章 破滅へ向かう人類とその生存システム

二章 破滅へと向かう人類とその生存システム


地球は炭酸ガス等の温室効果によって金星のような灼熱の惑星になる可能性がある。
温室効果によって地球は適度な気温に保たれている。

一九世紀末スウェーデンの化学者、スバンテ・アルヘニウスと、アメリカの地質学者、T.C.チェンバレンらは独自に、大気中の二酸化炭素は、入射する太陽光線を透過させるが、地表から反射する熱線に対しては、不透明になり、熱線を透過させず再び地表へ反射させ、地表を暖める働きをしており、これを温室効果と呼び、二酸化炭素はこの地球上の気温の維持に、主要な役割を果たしていると述べている。

この地球上に生命が誕生して三十五億年経過しているがその間に、太陽の照射エネルギーは三0%増加しているが、この地球上の温度はほとんど変化していないという。

それはこの地球にすむ生命が空気中の二酸化炭素を取り込み、それを珊瑚礁あるいは石炭や石油といった炭化水素として地中深く埋蔵する事によって、空気中の二酸化炭素の量をコントロールする事によって、この地球の気候を生命に最も都合の良い気候に保って来たからだと考えられている。

もしこの地球に二酸化炭素による温室効果がなければ、この地球の平均気温は零下二0度以下になり、この地球上の大部分は氷に覆われてしまうだろうと言われている。また大気中の二酸化炭素の濃度が一%を越えてしまった時、気温は加速度的な上昇を開始し水の沸点を越えて上昇岩石をも溶かす灼熱の惑星になるまで気温の上昇は止まらず、そして最終的には、水蒸気は大気圏外に散逸し、数百気圧の炭酸ガスと、小量の窒素で構成される、金星のような惑星になると言われている。このように炭酸ガスの量はは多すぎてもまた少なすぎてもこの地球は生物が住むには不適当な環境になってしまう。

大気中の二酸化炭素の濃度は、非常に長期にわたる地質時代の期間で見ると減少してきたがほとんど安定していた。しかしイギリスの産業革命ともに地下に蓄積された、それらの炭化水素が掘りだされ、燃料として使用され、その使用量の増大ともに、大気中に排出される、二酸化炭素の量も増加してきた。

大気中の二酸化炭素の増加は、おそらくは産業革命により、石炭の大量使用が始まった一九世紀から、始まっているのだろうが、一九五0年代まではまで、それ程顕著な増加は示していなかった。しかし第二次世界対戦からまず、ヨーロッパ諸国、そして日本などの経済が戦災より復興し、そして中東諸国で大規模な油田が相次いで発見され、それに伴って先進各国がその安い石油によって空前の経済的な繁栄を開始した。しかし経済的な繁栄は石油や石炭と言った化石燃料の消費の急激な増加を促し、それに比例し大気中の二酸化炭素も急激に増加を始めたのです。

一九五八年からハワイのマウナロア観測所で空気のサンプルを定期的に収集し二酸化炭素の濃度の測定が行われて来たが、それによると五八年の三一六ppmから八三年には三四三ppmと二五年間に九%も増加を示した。このままの状態で増加が続くなら二0三0頃年までに工業化以前のレベルに比べて二倍になると予想されている。

そしてその時この地球上の平均気温は三度上昇すると予想されており、また二酸化炭素による温室効果は高緯度に向かうに従って増幅される事が知られており温帯地域では四度から六度さらに南北両極圏では九度以上昇すると予想されている。

さらに七七年米国科学アカデミーのエネルギーと気象に関する報告では、このまま化石燃料の消費が増加し続ければ、二00年以内に世界の平均気温は六度C以上も上昇し大異変が起こるかも知れないと報告している。

ソビエトの科学者チームは、気温が四度上昇するだけで北極海の氷は全て解けてしまうと発表している。南極やグリーンランドの大陸の氷河が解けてしまうには、長い年月がかかるが、北極海のような海の氷りは短い年月で解けてしまうからである。周りが大陸で囲まれた北極海の海氷が融けてしまったら、この地球全体に予測のつかない気候大変動を、引き起こすだろうと言われている。また南極でも、ロス海や・ウェッデル海のような部分の、棚氷の溶解も早いだろうが東南極大陸の氷床が崩壊しないかぎり海面の上昇にはそれほど影響はない。

しかし温室効果による気温の上昇は当然世界の気候を変えてしまうと思われ、全体としては降水量の増化が予想されるが世界の穀倉地帯が大きく変わるかもしれない。アメリカの主要な穀倉地帯の大平原は気温の上昇ともに土壌中の水分は少なくなると予想されており、中国北部やソビエトでも降水量は少なくなると予想されている。それに変わって降水量の増加が予想されるのは、オーストラリア・インドから中東にかけての全域と、北アフリカとサハラ砂漠の東半分と予想されている。

また気温の急激で大幅な上昇が予想される、高緯度の森林地帯の樹木がその急激な気象の変化に適応仕切れないだろうと考えられており、これらの地域の森林の植生に極めて悪い影響を与える事になる。シベリアやカナダのタイガの樹木が急激な気温の上昇に適応しきれず大規模に枯死するだろう。大規模な森林の枯死はそれ自身が全て炭酸ガスとなるものだし、気温の上昇とあいまって土壌中の有機物の分解速度を早める事になり、莫大な炭酸ガスの発生源となる。またそれはさらに気温の上昇を加速する事になる。

化石燃料の使用によって発生する二酸化炭素の量は年間五0億トンと推定されているが、二酸化炭素の発生源はこれだけではない。

アジアやアフリカさらに南米のアマゾンなどで食料を得るための開墾や、あるいは過剰な焼畑農業や放牧などによって森林は毎年二0万平方キロも減少しつつある。ローマ・クラブの報告によると二千七十五年にはこの地球上から森林は無くなると言っている。

これら森林を伐採された所はいずれも、その土壌やあるいはそこに生えていた植物は全てどのような形を取るにせよいずれ二酸化炭素になる。つまり森林が無くなる分二酸化炭素の発生源が増えて行くだけでなく、それが吸収するはずだった分も併せて増えて行くのです。しかも海中に、吸収される二酸化炭素の量は、従来考えられていた量より、はるかに少なく、炭素量にして、年間三0億トン程度しかない、ことが分かってきた。

そして大気中一ppm当たりの二酸化炭素の炭素量は、二十三億トンと推定されている。この地球上の植物のもつ炭素量は八000億トンそして、土壌中の有機物は一兆トン有ると推定されている。もしローマ・クラブの報告のとうりにこの地球上から森林が消滅するとすると、その土壌中の有機物と合わせて一兆五000億トンがこの大気中二酸化炭素として放出される事になる。

これは二酸化炭素の濃度にして六五0ppmに相当し、それに化石燃料による増加分と合わせると、大気中の二酸化炭素の濃度は一千三百ppmにもなると推定され、これは工業化以前の濃度の四倍以上にもなる。そしてその時の、気温を推定するなら、平均気温で十度以上上昇しているだろう。これだけ温度が、上がればこの地球は、人間の住める環境では無くなるだろう。そしてその温度の上昇はもうどの様な手段を選ぼうと、止める事が出来ない水準を突破しているだろう。

もし東南極大陸の氷床が崩壊したら

東南極大陸の氷床は気温が数度上昇するだけで崩壊する可能性があり一万二千年前には海面が現在より六メートル高った時期にはこの東南極大陸の氷床は無かったのではないかと指摘する学者もいる。東南極大陸の地表面はその大部分が海面下になっておりそこに海水が流れ込めば氷床は一気に崩壊し動き出す。

それによる海面の上昇は六メートルにもなり数十メートル津波をとなって世界中の海岸にある全ての都市そして日本の臨界工業地帯やヨーロッパの低地の工業地帯やインドのガンジス川流域・メコン川・中国の南部そして黄河流域の、広大なアジアの稲作地帯は壊滅に近い打撃を受け、現在の世界の秩序は崩壊し大規模な民族の大移動と戦乱が起こり、人類がこれまで経験したことの無いような大混乱に陥り、現代の政治経済秩序は崩壊し現代の物質文明は、海中に壮大な廃墟を残し滅び去るだろう。

それは日本においても例外ではなく、これまで気違いじみたテンポで近代化し工業化してきた我国は、世界的な規模で混乱と危機が表面化するその頃超高齢化社会に突入する。三人で一人の老人の面倒を見なければならない社会になるのだ。もし二千年までに新しい文明への政治、経済、社会、教育への展望を開くことが出来ないとしたら、やがて海面の上昇により海岸の都市はその機能を失い、そして外国からの資源の輸入の出来なくなる我国も、これまで長い間かかって築き上げた全ての社会基盤を失い社会は崩壊し、人々は想像を絶する大混乱のうちにこの世と別れなければならないだろう。

いま人類はあらゆる資源とエネルギーの化石燃料の無駄使いと、物質至上主義の心を失った意味の無い繁栄と、他の生命達を軽んじて来た事の償いを、一度にさせられようとしているのだ。

 

フロンガスは全面核戦争以上の環境破壊力を持っている。

自然界に存在しない、フロンガスが最初に作られたのは一九三0年アメリカで、冷凍機の冷媒としてキネテック・ケミカル社によって開発され、それがデュポン社に引き継がれて現在に至っている。直接の毒性がなく取り扱いやすいこの物質は、現在は冷凍機や空調機に冷媒として使用されている他に、殺虫剤や様々な薬品を噴射するためのスプレーや、IC等ハイテク製品の洗浄剤や、ウレタンやスチロールの発砲剤等、あらゆる分野に使用されていてこの物質がなければ経済が成り立たないほど、私達の生活に深く浸透している。

現在までに世界で生産されたフロンガスの総量は、千五百万トンにものぼっておりその内千四百万トン前後が大気中に放出されたものと推定されている。このフロンガスは化学的に安定で、自然に壊れるのに百年以上の年月がかかり、その間に生産され消費される物の大部分が大気中に放出され、それが残留しそして蓄積され続ける。そのため大気中と成層圏のフロンガス濃度は増加し続け、オゾンを破壊しオゾンの濃度は減少し続けるだろう。一般の人々にはフロンガスが核兵器による、全面核戦争並みの危険性を持つことはあまり知られていない。フロンガスは炭酸ガスの、一万倍もの温室効果を持っている事が知られており、その絶対量が少ないとしても、この地球の気象と生命に与える影響は極めて大きい。しかも成層圏のオゾン層を破壊する事が知られている。

フロンガスは大気中に放出されると、長い年月をかけて成層圏まで上昇する。そのために南極のオゾンが七十年代に入って減少を始め、そしてその後急激な減少が起り、現在では南極大陸全域にまで及ぶ地域に、成層圏にオゾンの極端な減少を示している領域、いわゆるオゾンホールが存在する事が報じられていた。この現象は戦後に世界の各地で生産が始まり、六0年代世界的に高度成長が始まり、それに伴ってフロンガスの生産も急激に増大した事の影響が、二五年程度の時間のずれを伴って、その影響が現在に現われている事を示している。また北半球でも小さなオゾンホールが、いくつも発生している可能性が指摘されている。そして現在世界中で特に北欧の北極圏に近い地域で皮膚ガンの発生率が、急上昇しており成層圏のオゾン層が少しづつ減少し、紫外線が増加しているのが関係があるとみられる。

八八年三月NASAの主催でオゾン・トレンド・パネルが開かれ、この中で最も注目されたのは、地球全体のオゾンの量が減少していると言うデーターが出された。それによると六九年から八七年迄の一七年間に北緯三0度から三九度の間で一・七%四0度から五二度の間で三%減少しているとの発表があった。

成層圏のオゾンによって、太陽の紫外線の九九%が吸収されており、オゾンがフロンガスによって破壊されるなら、全ての生命に有害な紫外線が直接地上に降り注ぎ、人間などに皮膚ガンを引き起こし、植物など全ての生命に重大な被害を与える。もし成層圏のオゾン層が十%減少したら、全ての植物の成長は止まり枯死してしまい、それによって植物に繋がる食物連鎖は崩壊し、この地上の生物の大部分は絶滅すると考えられている。

海洋でも表面近くに住む生産者であり、海洋の食物連鎖の源になっている植物プランクトンが紫外線によって死滅する事によって、それに繋がる動物プランクトンから、小魚から鯨に至までの食物連鎖が崩壊し、大規模な生物種の絶滅が起るだろう。七千万年前に起った恐竜の大絶滅は、巨大隕石の衝突が原因で大量の微粒子と水蒸気と窒素酸化物が成層圏に捲き上がり、急速に温度が低下しその後、微粒子が地上に落下した後も窒素酸化物により成層圏のオゾン大幅な減少をしていたため、強烈な紫外線が直接地上に降り注ぎ、陸上と海洋の生態系の全面的な崩壊に繋がり、極短い期間に大規模な動植物の絶滅が起ったと考えられている。

フロンは、その富みと引き替えに、自分の魂を悪魔に売った男に例えられるだろう。


(このフロンの発明者はPCBも発明しておりノーベル化学賞も受賞している。この様な結果になる事は、予想出来なかったと言うだけで済まされるだろうか?)このままこの悪魔のくれた、この真に便利で使いやすい、この物質の使用を続けるなら、この文明と人類にとって取り返しのつかない事態を招くかもしれない。

私にはこの物質はこの地球に生きるに適さない生命、人間をこの地球の生態系から排除するためガイアが作り隠しておいた、落し穴だったような気がする。人間はまんまとその落し穴はまり込み抜け出る事が出来なくなった。

現在の文明はこのフロンガスを除いて考えられない程に、あらゆる所に使用されている。人類は化学的に安定で毒性もなく、真に扱いやすいこの物質の恐るべき魔性を、半世紀にも渡って見抜く事が出来なかった。人間がこの物質の本性に気が付いたとき、人間はこの物質無くして生活出来ないような、状態にまで私達の身の回りに入り込んでいたのだった。そして南極でオゾンホール作ったりしているのは、数十年も前に作られたフロンガスが成層圏にまで上昇して様々な悪さをしているのだ。

ローランド・モリナー理論によると、一個のフロン分子が成層圏の紫外線で分解し塩素を出す。この塩素はオゾンと反応して一酸化塩素(ClO)になり、これがまたオゾンと反応して塩素と二個の酸素分子に生成し、遊離した塩素は再びオゾンと反応するサイクルを繰り返すし、一瞬にして数万個のオゾン分子を分解してしまうのだ。

現在このフロンガスの生産を中止とたとしても、この状態が直ぐに改善される訳ではない。それどころか世界が一斉にフロンの生産と使用を中止したとしても、今後数十年に渡って成層圏のフロンの濃度は増加し続け、それに伴ってオゾンは減少を続けるのだ。一部の学者はもう何をしても手遅れかもしれないと、言っている事を肝に銘じておくべきだ。私は予言とか預言者の言っている事を、真に受ける者ではないが、ノストラダムスの予言を後から理由をつけて勝手に解釈するとするなら、彼の言う「空から降りてくる恐怖の大王」とは全ての生命を滅ぼす紫外線の事であると、解釈する事が出来るだろう。

世界におけるフロンガスの生産と消費が、現在の状態で推移するなら、西暦二千年には北半球の高緯度とくに北緯五十度以上では、大幅なオゾンの減少が起ると推定されている。フロンは炭酸ガスなど様々なガスによる、温室効果による被害など問題にならない程の恐ろしい悪魔の使者だったのだ。それは全面核戦争にも匹敵し人類と、この地球の生命を根絶やしにする悪魔の物質であったのだった。しかも核戦争は起っていないのに、この物質は全地球上に拡散してしまっており、何の手段を採ることも不可能なのだ。今後一世紀以上に渡って、成層圏のオゾンを破壊し続ける、フロンガスは核戦争よりも確実に人類とこの地球の生命は生死の境をさまよい歩く事になろう。

この恐怖の大王を呼び寄せるフロン問題の発端は、フランスとイギリスによって開発された、超音速旅客機コンコルドの就航によってオゾン層に、悪影響を与えるのではないかという論争がアメリカの議会で起った。その内に南極大陸でのオゾンの減少などが報告される様になりフロンガスが危険だという事が判明し、七九年になるとアメリカはスプレーにフロンを使用する事を禁止した。そして今年になってデュポン社はフロンガスの生産を二千年迄に全面的に中止すると発表したのだ。アメリカはこのような事には対応が極めて早い。この勇気ある決断は称賛に値する。それに比べ我国の政府と行政と産業界の、対応の鈍さにただあきれ腹立たしくなる。

直ちに先進国と後進国を問わず、世界の歩調を合わせた強い規制が必要だ。人類の将来を左右する重大な問題を野放しにする事は、如何なる事があろうと許される事ではない。また如何なる産業も、人間が存在していてこそ成り立つ。この地球の生命と人類が絶滅したら、どんなに高度な技術を駆使した製品でも何の意味もない。

 

このフロンによる環境破壊の深刻さは、他の環境破壊の問題に比べて、それに気付くのが遅くなった事と、その進行速度が早く破局を回避する、時間的なゆとりがほとんど無い事にある。


フロンガスは、炭酸ガスの一万倍もの温室効果を、持っている事が知られており、しかもその吸収帯は、十ミクロン付近にあります。この付近は地球の熱を、宇宙空間に逃がす、窓の役割をしており、それを塞がれる、影響は計り知れないものがある。そのためその量は少ないとしても、この地球の気象に与える、影響は極めて大きい。

しかも成層圏の、オゾン層を破壊する事が知られており、そのために南極のオゾン層に、南極大陸全体に広がる地域のオゾン層に、穴が開いている事が報じられていた。これらのオゾン層が、フロンガスによって破壊されるなら、全ての生命に有害な、紫外線が直接地上に降り注ぎ、人間などに皮膚ガンを引き起こす。もし成層圏のオゾン層が十%減少したらこの地上の生物は全て、絶滅すると考えられている。

フロンガスの増加の影響は、それだけに止まるものでなく、成層圏のオゾンが少なくなれば、それだけでなく地表に、到達するエネルギーが増加する結果、温室効果を加速しこの地上の気温を、今まで無かった程に高くするだろう。現在の文明はこのフロンガスを除いて、考えられない程に、あらゆる所に使用されている。人類は化学的に安定で毒性もなく、真に扱いやすいこの物質の、恐るべき魔性を、半世紀にも渡って見抜く事が出来なかった。

先進国は工場や車の出す排気ガスによる酸性雨によって森林が枯死している。

先進国においても、南の国々とは違った意味の、森林破壊が起きている。大気汚染による森林への被害は近年になって、始まったわけではなく、十九世紀すでに英国やドイツでかなりの広域で森林破壊が始まっていて、その後の大気汚染の規制で一時は好転したが、それが最近になって再び起こり始めた。

最初の被害国はスエーデンでまず、湖沼に影響が現れ、水の酸性化が深刻になり魚や水棲昆虫の、ほとんどが死滅し薄茶色の死の湖になってしまった、程なくして森林が枯死し始め、それがドイツを始め、中部北部の全ヨーロッパに広がり始めた。八十年代に入って各国で、被害が爆発的に広がった。スエーデン南西部地方ノルウェー、西ドイツ最近では東ヨーロッパや、フランスにまでその被害は広がり始め、ドイツ人が国民的財産と誇る。あの黒い森は、七十五パーセント被害を受けている、ハイキングやピクニックの、名所だった東ヨーロッパアルプスと云われた、山々はもう昔の面影もなく、マツ、モミ、トウヒの原生林に変わって、何十キロにわたって枯れ木が続く。原因は工業化と車社会が必然的にもたらす、大気汚染に伴う酸性雨や、病害虫といわれてきたが研究が進につれ、謎も深まってきてた。

レスターブラウンの地球白書によると、各国政府とも、窒素酸化物については関心が薄く、卵の腐ったような臭いのする、硫黄酸化物に比べてそれ程、有害ではないと考えられていた。そのため火力発電所からの、排出規制もなく自動車の増加により、急激にふえつつある。ヨーロッパでは五十年代終わりから、七十年代始めにかけて、倍増したと考えられる、西ドイツでは、六十六年から七十八年にかけて五十パーセント増加した。北アメリカでも同様の傾向をみせ、五十年代に比べアメリカでは二倍、カナダでは三倍になった、これまで、都市の大気浄化の決め手として、高い煙突が建設されてきたが、そのため煙突の汚染物質が地上に降りてくる迄に、数百キロも汚染物質を運ぶ事になった。そのことは工業地帯や、都市から遠く離れた森林が、広範囲に被害を受けている事からも解る。

硫黄や窒素の酸化物は、空気中に留まる時間が長いほど酸化が進み、酸性雨のもとでもある硫酸や硝酸になりやすい、ある条件のもとでは、窒素酸化物の一部は空気中の炭化水素と反応してオゾンを生成する。このオゾンはまた硫黄や窒素の酸化物と反応して酸性雨の原因になる流酸イオンや硝酸イオンを生成する。

森林の樹木は、主に土壌中のカルシウム、マグネシウム、カリウム等を吸収する。土壌中に浸透してきた酸性雨は、植物に必要なそれらの栄養分を溶かして、流出させてしまうため、樹木は栄養分を吸収できず、衰弱して病害虫に侵され易くなり、最後には枯死してしまう。酸性雨で森林が枯死した場所に新たに、苗木を植えても、その苗木さえも、枯れてしまう事が、知られており人間の、そのような努力さえも、無駄なものにしてしまう。

オゾンは主に、自動車の俳ガスの炭化水素と窒素酸化物が、太陽光線の中で反応して、生成される。このオゾンの、植物への害はよく知られており、酸性雨の生成を助け、樹木の抵抗力を弱めると考えられる。これらの源となる、窒素酸化物を減らすことは、森林保護の、重要な手段である。原因不明のよく解らないまままま、八十四年頃から、針葉樹からブナ、ミズナラといった、広葉樹にまで集団枯死が始まり、中部ヨーロッパの森林の、壊滅は時間の問題だと、西ドイツの週刊誌ツァイトは警告している。

酸性雨や、大気汚染によって、商業用の人口林が、こうむる直接的な、経済的損失より天然林の、生態系がこうむる変化のほうがより、深刻な結果を引き起こすだろう。何十万年、何百万年あるいは何千万年という、歳月をかけて進化し、多様化してきた、幾多の生命の系統が、人の貪欲さと、その無知によって、たった数十年の間に消滅しようと、している。この森林の枯死の問題は、ヨーロッパに限られた問題ではなく、アメリカ東部やそして日本でも、程度の差こそあれ、すでにそれは始まっている。

これらの環境汚染による、森林の破壊はそれが表面化してきた時は、もう手遅れでどのような手段を取ろうとも、焼け石に水くらいの効果しか、期待できない事を、ヨーロッパ中央部の森林は物語っている。

日本でも、今後中国が近代化してくるにつれ、深刻な問題となってくるだろう。現在森林は毎年十一万平方キロづつ、消滅しつつあり、このままの勢いでは二千七十五年には森林は、全て消滅するといわれている。そしてこれは現在、急速に進みつつある大気汚染に、ともなう酸性雨による森林の枯死は、含まれておらず開発途上国や、中国等東アジアの諸国の近代化共に、現在推定されているより実際には、それよりも早くなるだろう。

 

アマゾンから樹木を取り除いたらサハラ砂漠になる。

いまでは樹木の全くない、中東や北アフリカの大部分と、あのサハラ砂漠がかっては密林であり、水量豊かな川が、縦横に流れていた。その事はアメリカの資源衛星や、サハラ砂漠の中の、タッシリナジェールの遺跡に残る、船を書いた岩絵が証明している。今は東西五千キロ南北二千キロに及ぶ、広大な砂漠となり草も、樹木も生えない。

現在でも、北の先進国では工業化と、自動車による酸性雨が森林を、枯死消滅させ、南の開発途上国では、人口の爆発的増加が、サバンナを砂漠に変え、熱帯雨林を開墾のため伐採し、消滅しつつある。人類が森林に対して、圧力をかけ続ける理由は、食料を得るための開墾、炊事用燃料、そして家を建てるため、そして同じような内容の、たいして役にも立たない新聞雑誌用の紙を、作るためにである。

世界最大の川、アマゾンはペルーのアンデス山中に、その源を発し無数とも言える支流の水を集めて、大西洋に注ぐ大河であり、全長六千四百キロ、本流支流を合わせると、その長さは、五万キロ以上にもなる。その流域面積は七百万平方キロにも及び、日本の国土面積の十九倍にもなり、ここには世界の熱帯雨林の、三分の一があり、世界の三分の一から四分の一酸素を生産しており、この地球の肺の呼び名が相応しい。まさに緑の魔境の呼び名に違ぬ威容がある。現在この地球上では、五百万種から千万種程度の生物種が存在しており、アマゾンには百万種が存在している。魚だけを例にとっても、二千五百種がアマゾンに生存しており、これはアメリカの、ミシシッピ川の十倍にも当たるという。この他に類例のない、多様な生物種の宝庫を失えば、人類にも、この地球の生命全体にも、とり返しのつかない損失になる。

現在のアマゾンで行われている、大規模で収奪的な焼畑農業は、急速にその熱帯雨林を、喰い潰しつつあり、全アマゾンで、毎年二万平方キロの、熱帯雨林が消滅しつつあり、これは四国の面積よりも大きい、しかもこれが加速しつつあり、これから十年もたたないうちに、アマゾンの幾つかの州では、貴重な熱帯雨林が完全に消滅し、そしてアマゾンの熱帯雨林は、今世紀末にはほとんどが消滅し、現在のアフリカの水準になっているだろう。アマゾンの森林はとても豊かに見えるが、それを支える表土は極めて薄く、10センチがせいぜいですから、木は横に横にと根を広げる、そのため木は自らの体を支えるため、熱帯の樹木特有の板根を、発達させてきた。アマゾン等の熱帯雨林では高温多湿で、落葉や倒木が菌類その他の生物による分解、そして再び木に吸収されるサイクルが短いため、熱帯雨林には豊かな植生が存在出来るのです。

つまり熱帯の森林においては、栄養分は木自体とその林床の腐食土層に、貯えられているから、樹木や腐食土層をとり除いてしまうと、そこの栄養分が全部無くなってしまう事になる。ここが栄養分の多くが地中にある、温帯林とは異なるところだ、しかも熱帯林では土壌中に鉄分とアルミニウムが多く含まれているため、栄養分を後から補給することは難しいそれは、化学肥料なかのリン分を、鉄分とアルミニウムが、閉じ込める形になる。

熱帯雨林は雨の多いのが特長ですが、この雨の五十パーセントが自らの蒸発作用で作られついる事が解ってきた。そのような中で森林を伐採すると、熱帯特有の強烈な雨が表土を直接たたき、その表土の流出はすさまじい勢いで進み、貴重な養分が流される。植物自身の活動によって、恒久的に保持され続けてきた、アマゾン等の、熱帯雨林の豊かな植生は、数百万年から数千万年以上に渡る、植物等の生命の活動によって、集積し蓄積してきた様々な栄養分や微量元素の上に存在している。

それを植物等の、生命が生きて行くために必要な、ミネラル等の栄養分は雨によって流出し、そして人間が木材や農作物として、外部に持ち出してしまう。そのため土地の物質的なバランスが崩れ、生命に必要な微量元素の絶対量が不足し、枯渇する事になる。そして土地は急速に痩せ衰え、生産力の無い土地になり砂漠化する。そして人間によって木材や作物として持ち出された、微量元素は最終的には邪魔で有害な廃棄物として海中に投棄されるか、地中深く埋められ、二度と元の生命と物質の循環系に戻され使用される事は無い。この事が如何に、愚かな行為であるかは容易に理解出来るだろう。

そのため人間が破壊した、森林にはもう人が斧を入れる前の、豊かな植生が戻る事は無い。その事はかって、人間の文明が栄えた地域の、広大な不毛の大地が語っている。そして次に起きるのは、太陽の直射により、まるで日乾しレンガのように、固まってしまい、その土壌には、生命が必要とする栄養分はさらに、雨に洗い流されて無くなり、限りなく純度の高い砂に近付く。したがってアマゾンの森林を伐採すれば、それだけ雨が少なくなり、乾燥化が進み、限りなくサハラ砂漠に近づいつゆく。またアマゾンに代表される、熱帯雨林は、蓄熱所としての意味も持っており、アマゾンの熱帯雨林を失うことは、この地球の気象が劇的に変わり、欧米や日本の温度が今よりずっと寒くなるという学者もある。この事は、アメリカ、日本、中国、西欧の食料生産に、大きな影響を与える事になるかも知れない。

また古代文明の栄えた、地域は例外なく、その昔は豊かな森林があった事は前に書いているが、現在の開発途上国や、ブラジルのアマゾンの熱帯雨林破壊と消滅は、人間が過去に犯した大きな過ちを、過去の歴史から学ぶ事無くまた、同じ過ちを繰り返している。


森林の消滅は、旱魃や洪水を益々ひどくし、生態系に取り返しのつかない、大きな影響を与えるだけでなく、炊事用燃料に、薪以外の燃料を持たない、後進国の辺境地に住む、多くの人々にとって、薪は買うには余りにも高くなり過ぎ、そしてそれを広い集めるには少なく、大変な労力を必要とするようになって来ている。森林が十分ある時は、そのその森林の持つ価値は評価されないが、それが消失する時、我々は痛いほどにその価値を認めざるを得なくなる。

そしてこの熱帯雨林を含めた、森林の消滅はとり返しのつかない、生態系の破滅を引き起こし、間接的に人類の絶滅へと繋がって行くだろう。もう危機を人々に訴えるだけでは人類の命の綱である森林を守ることは出来ない。南の国々の人々に森を焼かなくても、家畜を放牧しなくても、食べてゆく事の出来る手段を与えなくてはならない。そして北の国々の人々には物を作り続け、働き続け車に乗らなくてもなくても、生きてゆける手段を与えなくては、この地上から森林が消えて無くなるのは時間の問題だ。そして人類が何百万種もの生命を道ずれに、絶滅するのも時間の問題だろう。この瑠璃色の惑星を灼熱の不毛の砂漠の惑星に変える事は避けることが出来ない。

森林は現在の多様な生命を産み出し、そして人類を生み育んできた生命の揺り籠でもあった。過去数億年以上に渡る、陸上棲の動植物の歴史で、樹木や森林そのものと敵対し、徹底的に破壊しなければ生きて行けない種は、人類以外には存在しなかった。自らを生み育ててきた樹木を切り倒し、森林を焼き払わねば生きて行けない、人類とその文明の在り方の不自然さが浮き彫りになる。

現在世界中に進行中のこの問題は、人類の生き方と文明の存在形態、そのものの変革が必要になって来ている事を如実に物語っている。現在の人類を取り巻く状況は、人類の社会的そして意識的な進化が必要になって来ている。むろん人類にその進化が、様々な理由によって出来ないなら、あるいは現状の維持しか望まないなら、人類には滅亡への道しか残されていない。もし人間が貴方が、現状の維持しか望まないなら、人類には最終的な破局(最後の審判と言うべきか)は避けられない。

私達人間が犬や猫等のペットを大事にするように、樹木等の植物に対してもどんな生命に対しても、それなりの心遣いをしなければならない。樹木とて生命人間の飼っているペット等の扱いと、樹木への扱いにこれほどに差があって良いものだろうか。この二十世紀になって何種類の動物が絶滅したが、有識者はその事を悲しんだが、植物や昆虫は数える事が出来ない程に絶滅しているはず、それら植物や昆虫がの種が絶滅する時その識者は悲しむだろうか。これまでに幾多の昆虫や植物達が、人間によって滅ぼされていったはずなのだが、その何れも焼き殺されるかその住みか奪われ、人に気付かれずひっそりと消えて行った。

植物はこの地球生命圏において極めて大事な役割を担っている、にもかかわらずその扱いは限りなく無機物に近い扱いしか受けていない。彼等は命ある生命であり資源ではない。人間がこれ迄に彼等に行ってきた行為は虐殺以外の何物でもない。人間の彼等への接し方に、大きな誤りがある。フィンドフォーンでの、実験を見ても分かるように、植物にも心とも言えるものがあり、人間が愛情を注ぐ事で、普通での成育状態の何倍もの大きさに、成長する事が知られている。人が、植物等の生命にもせめて、人の飼うペット並みの愛情をかけてやるなら、限りない恵みを、我々人間に与えてくれるだろう。人間は最終的には牧畜や現在の形態の農業のような、樹木や森林と敵対しなければ存在出来ない形の、食料生産システムや各種の産業は放棄しなければならない。

最近では値段の安い石油化学製品に、置き換えられているとはいえ、私達の身の廻りの住宅や家具調度品の類いや、あらゆる所に木材は使用されており、その木の持つ独特の味わい温もりは何物にも代えがたいものがある。この一人一人の人間の持つ木へのこだわり、郷愁もまた森林等を破壊し、自然へ圧力かけ続ける事への大きな一因となっている。

また建築用材や、新聞等の製紙原料として、我国は世界最大の木材の輸入国であり、世界の総輸入量の半分にも達する。この事は、我国が世界の森林の破壊の元凶と言われても仕方のない、数字が此処にある。世界の森林の破壊を止める為に、紙や家具や住宅等此等の物も食料に次いで、人間が生きて行くうえで不可欠な物でもあるが、此等の物にも可能な限り、木材は使用されるべきではない。紙や家具そして住宅には、土や石等の物質を加工し、循環的に使用可能な物質に変換して、使用すべきである。樹木などの植物も、年輪ともに何れ、倒れ朽ちて行くものであるから、樹木を利用した方が良いという考えの人が、殆どであると思うが、人間が山林から、樹木を伐りだす事によって物質的な、不均衡を生み、土地が痩せて植性が貧困になり、最終的には樹木は生えなくなるからだ。

ただ人間の手による、物質的な循環のシステムが、完成している山林は、その例外であって良いだろう。人間の手による物質的な循環のシステム、つまり人間が必要があって農作物や木材や下草として、その農地や山林から持ち出した物質は、必ず元の農地や山林に返還し、恒久的に農地や山林の地味を、維持管理をするシステム。また金属やその他の無機的な物質についても、それらの物質を外部に廃棄物として、一切外部の環境を出さない閉鎖的な、物質の循環系を完成させなくてはならない。それが不可能な物質は、人間の生活の中に取り入れるべきではない。資源の枯渇や河川や湖の汚染、都市に溢れかえるゴミ、森林の破壊や土壌の流出など、環境破壊の主たる原因は、人間が生活する為に使用する物質が、循環的に使用されない、開放的な系を為している所にある。

人間が生活する為に使用する物質は全て、閉鎖的な循環系を形成させなければならない。それが資源の枯渇を防ぎ環境の破壊と汚染を止め、南北の格差や貧富の差を解消し犯罪を撲滅し、人類の社会を安定させるただ一つの方法である。そしてこれは人類の社会そのものが、より生命体に近づく事を意味している。人間と此等の樹木等の植物との共生、そして最終的には一つの生命体となるのが、人間における進化の道であり、人間として種としての完成であり、この地球における生命進化の最終の到達点だろう。

 


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